【味噌の種類とは?】 麹、味、色、地域ごとの味噌の特徴を徹底解説!
味噌は、日本全国に広がり、それぞれの地域ごとに独自の風味や特色を持ち、原材料である麹の種類や発酵の環境、色による違いも含め、各地の風土を生かした様々な種類や味わいが楽しめます。
各々の地域で、伝統的な味噌作りの技術が受け継がれ、家庭や地域の味噌づくりも盛んに行われてきました。
各地の味噌は、それぞれその土地の特徴や文化を反映しており、観光名所や土産物としても人気です。是非、地域ごとに広がりを見せる豊かな味噌の魅力を味わってみてください。
味噌の種類分けは、麹・味わい・色で分けられる!
味噌には色々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、<麹による分類>、<味わいによる分類>、<色による分類>についてその分類の仕方や特徴を見ていきましょう。
以下記事では詳しく解説していますので詳しく知りたい方はこちら↓↓
【味噌の効能とは?】栄養や効果的な摂り方を徹底解説!
<麹による分類>
味噌は、発酵食品の一種であり、発酵によって生まれる風味が特徴です。味噌の発酵を促すには、米、麦、豆などの穀物に麹菌を培養・繁殖させた麹が不可欠です。
麹は、原料の違いによって、米麹、麦麹、豆麹と3つの種類に分けられます。
味噌を発酵させる際に、
米麹を使ったものが『米味噌』
麦麹を使ったものが『麦味噌』
豆麹を使ったものが『豆味噌』
となります。
この他に『調合味噌』というものがあります。『合わせ味噌』とも呼ばれ、米味噌と麦味噌、米味噌と豆味噌といった、異なる種類の味噌を混ぜ合わせたり、複数の麹を混合して造られるものもあります。調合味噌は、比較的マイルドな味に仕上がります。
<味わいによる分類>
味噌の甘さや辛さは、麹の割合と、塩分の量で決まります。
原料(大豆)に対しての麹の比率を麹歩合と言います。この麹歩合が低く、塩分の量が多いと辛口になります。塩分が一定であれば、麴歩合が高くなるほど甘口になります。
味噌は、この割合により、3つの種類に分かれ、『甘味噌』、『甘口味噌』、『辛口味噌』となります。
『甘味噌』は、塩分が6%前後の濃度と控えめで、甘みがしっかりと感じられます。また、『甘口味噌』は、塩分濃度にして10%前後、やさしくまろやかな、ほんのりとした甘みが感じられます。『辛口味噌』の塩分は、12%前後です。
<色による分類>
味噌は、原料や製造方法などからも色合いに差は出ますが、それとは別に、発酵や熟成中に起こるメイラード反応によっても仕上がりの色合いが変わってきます。メイラード反応とは、アミノ酸が糖と科学反応を起こして褐色に変化する現象で、醸造期間が長くなればなるほど、メイラード反応が進んで、味噌の色合いが濃くなります。
味噌は、この仕上がりの色の違いにより、『赤味噌』、『白味噌』、『淡色味噌』と3種類に分類されます。
地域ごとの味噌の種類と特徴
地域ごとの風土や伝統が詰まった味噌は、それぞれの地域ならではの料理の魅力を引き立てています。
日本では、お米に麹菌を培養して繁殖させた米味噌が最も一般的で、広い地域に伝わっています。九州や四国では、主に麦味噌が生産されています。愛知、岐阜、三重は、豆味噌の主な産地となっています。
味噌汁や煮物、漬物など、日本料理の基本とも言える料理においては、それぞれの地域の味噌の違いが生かされています。味噌の世界は奥深く、地域ごとにそれぞれの個性を楽しめるといった魅力があります。
日本全国それぞれの地域で、どのような味噌が作られているのか?その種類と特徴を紐解きます。
北海道
北海道は、夏でも平均気温22℃にしかならず、1年のうち半分が氷温に近い冷涼な地であるため、気温や湿度の違いから、本州と同じ製造方法では良い味噌ができませんでした。その為、長期間の熟成や切返しなど、北海道の自然環境に合わせた造り方で、北海道らしい独自の味噌が生み出されました。
<北海道味噌>
特徴として、麹歩合はやや高めで、塩分量は控えめ。すっきりとした芳香な味わいにクセが少なく、食材の風味を活かしてくれる辛口寄りの米味噌です。
東北地方
東北地方での主流は、辛口で赤色の米味噌です。しかし、味は、地域によって様々です。気候が厳しく、食物が不足しがちな東北地方では、飢餓などに備えるために、味噌造りはとても重要でした。そのため、味噌との関わりは特に深く、昔からそれぞれの特徴ある津軽味噌、秋田味噌、仙台味噌、会津味噌など国や藩の名前の味噌が作られ、今でもそのままの名前で受け継がれています。
<津軽味噌>
麹歩合は低く、塩分も高めですが、長期間熟成により、辛口ながらも口当たりはまろやかな赤色の味噌です。津軽三年味噌とも呼ばれ、独特の旨みがあります。
<秋田味噌>
辛口としては麹歩合の高い味噌で、米どころならではの良質な米と大豆をふんだんに使い、甘く華やかな香りの粒味噌で、色は、赤褐色です。
<仙台味噌>
伊達政宗が軍糧用としての味噌を造らせて以来、その伝統を受け継いでいる長期熟成の赤味噌です。辛口の米味噌で、そのまま食べても塩辛さより旨みが先に立ち、『なめみそ』とも呼ばれています。
<会津味噌>
厳しい気象条件の会津盆地で生まれた300年以上の歴史がある伝統的な米味噌。津軽味噌と並ぶ長期熟成型で、赤色の辛口味噌が代表的ではありますが、最近では中辛口なども増えてきています。
甲信越地方
東北地方と同じく、味噌が重要とされた地域です。特に信州味噌で有名な長野県では、かつて武田信玄によって奨励されたことにより、地域に味噌づくりが根付き、味噌蔵が多くあります。味噌の生産量は、日本一で全体の約半分を占めています。 新潟県では、佐渡味噌や越後味噌などがあり、越後みそは、上杉謙信が関東に攻め入った際、味噌の造り方を兵に習得させ、それを農民に伝え広めたとされています。佐渡味噌は、出雲の神様から伝授されたとの伝承があります。古くから大豆や米を栽培していたのと、仕込みに使う桶や樽も豊富に得られました。商業的な発展は、江戸時代に佐渡金山が発見され人口が急増してからのようです。
<信州味噌>
色は淡色で山吹色。ほのかな酸味の芳香と、すっきりとした旨味を感じさせる辛口の米味噌で、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。
<越後味噌>
味わいは、すっきりとした辛口で、塩味の中にも麹の甘みを感じる赤色の米味噌です。
麹に精白した丸米を使用するため、味噌の中に米粒がふわっと浮いたように見えるのが特徴的です。
その見た目から『浮麹味噌(うきこうじみそ)』とも呼ばれています。
<佐渡味噌>
麹歩合が多く、特徴としては、米も大豆もすりつぶして造ります。長期間熟成させるため塩なれし、コクのある深いうまみを感じさせます。辛口で赤色の米味噌。合わせ味噌にも使いやすい味噌です。
関東地方
関東地方は、気候に恵まれているので、寒冷地ほどは味噌への依存度が高くない傾向です。
北関東の一部では麦味噌もありますが、関東一円では、辛口の米味噌が造られています。
東京では、江戸甘味噌と呼ばれる味噌が主流です。これは、三河の『八丁味噌』の旨みと、京都『白味噌』の甘さを兼ね備えたハイブリッドな味噌で、江戸時代に徳川家康の指示のもとに造られました。
<江戸甘味噌>
白みそが大豆を蒸さないで煮るのとは違って、蒸した大豆を使うため、色は光沢のある濃い赤褐色になります。
米麹をふんだんに使っているので、濃厚な甘みと光沢が出ます。塩分濃度が低いため、しっとりとした舌ざわりのある米味噌です。
北陸地方
かつて東北と関西の交流の中心だった北陸地方は、味噌も両方の特徴を持っています。
富山や能登は、魚介が豊富なことから魚が煮崩れしないよう、水分が多く柔らかな越中味噌、石川は、加賀前田藩の前田利家が推奨し、軍糧の貯蔵品とされた加賀味噌、福井は、京都の影響を受けている甘めの赤味噌となります。
<越中味噌>
米麹歩合が高く、水分量や塩分濃度も高い辛口味噌で、長期間熟成させた米味噌です。魚介が豊富な富山県では、魚を煮る際に身が崩れないよう水分が多く柔らかい味噌になったようです。越中味噌は、魚介の旨みを引き出してくれる味噌です。
近年では、健康志向の流れにより、塩分や水分の割合が減少してきているようです。
<加賀味噌>
金沢を中心とした石川県の加賀地方では、加賀味噌が造られています。
麹と水分の割合が多く、長期熟成の米味噌で、コクがあり、濃厚な味わいが特徴の赤色味噌です。加賀前田藩の軍糧用の貯蔵品として造られたため、やや塩分が高く、キレのある辛みが特徴的。
近年では、減塩需要により、塩分低めの山吹色の淡色味噌も造られています。
東海地方
東海地方は、夏場高温多湿になる為、味噌を長期保存できるよう、『味噌玉製麹』という大豆に麹菌を直接加える伝統的な技法で豆味噌が造られています。戦国時代から各地の武将によって奨励され、様々に発展しました。
静岡は、米味噌ですが、愛知県、三重県、岐阜県の東海3県では『東海豆味噌』が造られています。
<東海豆味噌>
東海豆味噌とは、東海地方で造られている豆味噌の総称です。地域や銘柄によって名古屋味噌、八丁味噌、三河味噌、三州味噌、赤味噌などと呼ばれています。タンパク質が豊富で栄養価の高い豆味噌は、熟成に長い時間を要します。味わいの特徴としては、濃厚なうま味の中に独特な渋みやほのかな苦みがあります。家康は、江戸城に移ってからも、故郷である三河の八丁味噌を取り寄せていたそうです。
関西地方
関西は、調味料的に使用される白味噌が多いです。関西地方で作られる味噌の総称を『関西白味噌』と言います。『西京味噌』の銘柄名でよく知られているのが、この関西白味噌です。同じ米味噌でも独特の甘みを持ち、粕汁や雑煮、魚や肉の味噌漬けを作るのに適しています。
<関西甘味噌>
短期熟成タイプの米味噌で、白く淡い黄色みがかった白味噌です。麹歩合は高く、独特で濃厚な甘味を生かした甘味噌。主に京都で作られ、塩分量が少ないため長期間の保存には向きません。
仕上がりの白さため、大豆は、皮を全て取り除き、蒸さずに煮ます。米は、精米度の高いものを使用します。さらに、空気を遮断して熟成・発酵させることにより、より白く品の良い黄金色になります。
中国・四国地方
中国地方は、県により通常食べられている味噌が変わります。地理的に米味噌と麦味噌の分岐点に当たるため、それぞれの地域で米味噌と麦味噌に分かれます。九州方面に近い瀬戸内周辺では麦味噌が造られています。日本海側は辛口で淡色の米味噌、関西方面に近い瀬戸内側では白色の甘口米味噌となります。広島においては、米味噌と麦味噌の両方が造られています。
四国地方は、稲作に適さない土地であったことから、麦麹を使った麦味噌が盛んになりました。麹歩合が高く甘口の味噌で、色は、瀬戸内側はやや白色、太平洋側はやや赤色です。
<御膳味噌>
名前の由来は、蜂須賀公の御膳に供されたことからとされています。徳島県で造られている赤色の甘口米味噌。塩分は辛口みそと変わらないものの、麹歩合が高く甘みがあり、豊かな旨味が特徴です。
<府中味噌>
広島県で造られている米味噌。白色の甘味噌
醸造期間が短く、原料に皮を取り除いた大豆と良質な米が使われ、処理が重視されています。
麹歩合が高く塩分は少なめ、きめが細かく豊かな風味とコクがあり、関西白味噌、四国の讃岐味噌と並ぶ白甘味噌の代表格です。
<讃岐味噌>
香川県で造られる甘口の米味噌。 関西白味噌と府中味噌と並ぶ白色甘味噌の代表格の1つです。塩分が5%程度と少なく、濃厚な甘みとふくよかで上品な味わいに、透き通るようなクリーム色をしています。短期熟成型で発酵はさせません。
<瀬戸内味噌>
愛媛、山口、広島周辺の瀬戸内地域で生産される麦味噌。醸造期間が短いため、淡い色の淡色味噌です。
特にこの地域は、米味噌圏と麦味噌圏が交差し塩に恵まれた場所で、瀬戸内海側は、やや白色、太平洋側は赤色と地域によって差はありますが、いずれも麹歩合が高く、甘口の味噌です。瀬戸内味噌は、麦麹の歩合が高いため、麦の豊かな芳香とさらっとした甘味が特徴です。
九州地方
温暖な気候の九州の味噌は、熟成が早く熟成期間が短いため、淡色から淡赤色の甘口のものが多いです。九州地方では麦を二毛作で栽培していたことから、主として麦みそが造られるようになりました。しかし近年では、福島県周辺の北部において、麦麹と米麹を混ぜ合わせて造る『合わせ味噌』の生産も増えてきているようです。
<九州麦味噌>
麦味噌の主産地である九州で、大麦や裸麦で造られた麹を使用して造られます。
地域ごとに熟成期間が様々で色の違いや風味に差こそあれ、基本的には麦麹の割合が高く、塩分はやや低めで、強い甘みと独特の香りがあります。
淡色から淡赤色の甘口が多いですが、北部では赤色で辛口の味噌も造られています。
<薩摩味噌>
鹿児島県で作られる淡色から赤色の甘口の麦味噌です。熟成期間を比較的短めにして、麦の甘さを引き出します。さわやかな麦の香りと、麦麹の粒が残っているものが多いのも特徴のひとつです。
鹿児島県の郷土料理である薩摩汁は、薩摩味噌で作る代表的料理です。
自家製味噌の作り方、その手順とコツ
自家製味噌を作るのは、とても簡単で楽しい料理の一つです。自分の手で作った味噌は、市販品とは比べ物にならないほど風味豊かで魅力的です。
自家製味噌を作ろう!
①まずは必要な材料を揃えましょう。
大豆、塩、麹が必要です。大豆は十分に洗い、水に一晩つけておきます。
翌日、ザルで水を切り、鍋に入れて中火で煮ます。
大豆が柔らかくなったら火を止め、水気を切った粗熱が取れたらミキサーでペースト状になるまですり潰します。
②次に、麹と塩を加えます。
一般的には大豆の量に対して麹が1:3の割合で使われますが、好みに応じて調整しても構いません。
また、塩も味のバランスによって調節してください。
③麹と塩を加えたら、よく混ぜ合わせます。
均一な混合が必要ですので、丁寧にかき混ぜましょう。
④混ぜ合わせたら、容器に移し替えて密閉します。
㊟この時、空気が入らないように注意しましょう。
きれいなガーゼで上に蓋を作ったり、重しをして圧力をかけることも有効です。
⑤密閉した容器は冷暗所においておきます。
発酵が進むにつれて、味噌ができていきます。
標準的には6ヶ月から1年ほどで完成しますが、好みの味や風味になるまで発酵を待っても構いません。
⑥完成した味噌は瓶詰めし、冷蔵庫で保存します。
開封後も冷蔵庫で保存し、風味を楽しむことができます。
☆彡自家製味噌は素材の旨みや発酵の風味が楽しめるだけでなく、自分で作ることで食べる喜びも倍増します。是非一度、自宅で手作りの味噌を楽しんでみてください。
味噌の種類と地域ごとの特徴まとめ
日本全国で作られる味噌は、地域ごとに異なる風味や特性を持ち、豊富なバリエーションを楽しむことができます。
気候や土壌、文化、伝統的な製法などが密接に結びついて、その地方特有の味噌を生み出し、地域ごとに味噌の特徴を形成しています。このような地域ごとの特色は、それぞれの地域の個性も引き立て、味噌の多様性を豊かにしました。
多様な味わいを持つ味噌は、料理の幅を広げ、我々の食生活に貢献しています。
さらに、味噌は各地の伝統と文化に根ざしているため、味噌作りや味噌料理により、地域の継承や交流を深めることができる素晴らしい存在です。
各地の伝統文化に思いを馳せ、味噌料理を楽しむ!というのもまた、味噌の醍醐味かもしれません。