まず、豚肉に含まれる栄養素を見てみましょう！
豚肉は、高たんぱくで、人間の体に必要なアミノ酸を豊富に含み、特に、アミノ酸のバランスが非常に良いとされることから、筋肉の形成や修復、免疫機能の維持に効果的です。
また、豚肉には、単体でなく複合体で摂ることで効率よく働くビタミンB群が豊富に含まれています。代謝のビタミンであるビタミンB群は、エネルギー生産に必須の重要な栄養素です。
その他、豚肉で鉄や亜鉛、セレンなどのミネラルも摂取できます。
鉄は、体内で赤血球の成分として使われ、酸素を運ぶ働きがあります。そのため、豚肉を適度に摂取することで、貧血の予防や改善にもつながります。
亜鉛は、免疫機能やタンパク質の合成に必要な栄養素であり、セレンは、抗酸化作用や免疫力の向上に関与しています。
豚肉は、（部位によって糖質の量は異なりますが）全体的に低糖質であると言われ、一般的には、豚肉の糖質の含有量は、他の肉類よりも少ない傾向にあります。

豚肉は多くの人にとってお馴染みの食材です。豚肉の特徴は、その柔らかさとジューシーさにあります。この特徴が、他の食材との相性を良くしています。
豚肉の特徴とその魅力を最大限に引き出すために、ここでは、栄養的側面からスポットを当て、豚肉と組み合わせることで身体にとって有用に働く相性のいい食材をピックアップしてご紹介します。絶妙な組み合わせで、より健康的に美味しく、ヘルシーな料理を楽しむためのヒントとなれば幸いです。

美肌造りには、肌を作る材料となるたんぱく質は欠かせません。豚肉で良質なたんぱく質を効率よく摂り、それと一緒に、ビタミンCを多く含むブロッコリーやゴウヤ、パプリカ、キウイフルーツ、イチゴなどの食品を摂ることをお勧めします。たんぱく質やビタミンCや鉄は、体内でコラーゲンを生成するのにも必要です。夏場は、特にビタミンCが不足しがちになりますので、意識して摂取しましょう。一つのお料理として豚肉と一緒に調理する必要はないので、豚肉料理の付け合わせやデザートとして摂るように心がけると良いでしょう。

ビタミンB群を豊富に含む豚肉は、疲労回復に役立ちますが、アリシンを含む食材を一緒に摂ることにより、吸収力も高まり、効果の持続力もよくなります。
にんにくやニラ、玉ねぎやネギなどの香味野菜は、アリシンが多く含まれ、味のバランスからしても豚肉と一緒に調理するのに適した食材と言えるでしょう。
また、クエン酸は、筋肉内に蓄積された乳酸を取り除き、エネルギーを効率よく代謝してくれます。黒酢や梅酢などの酢類、トマトに多く含まれます。

白米は、日本料理において特に重要な存在です。そうとはいえ、白米の糖質が気になる方もいるのではないでしょうか。しかし、豚肉と米との相性は良く、それは、味わいに限ったことではありません。実は、豚肉に含まれるビタミンB１は、白米の糖質をエネルギーとして効率よく燃やしてくれるのです。更に、豚肉と味のバランス良いきのこ類を一緒に加えることによって、更にビタミンB群の効率がアップします。

豚肉の良質なたんぱく質と組み合わさることにより、サツマイモやカボチャに含まれるビタミンEやベータカロチンの働きが高まります。ビタミンE は、過酸化脂質を抑制し、細胞の老化を遅らせます。ベータカロチンは、小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれ、やはり抗酸化作用に優れ、免疫力や粘膜に作用するため、肌をつやつやにみずみずしく保ちます。ガンの予防や抑制、視力の低下予防にも役立ちます。油を使う料理が体内への吸収率を高めます。

豚肉に含まれる余分なコレステロールをこんにゃくで取り除きましょう。こんにゃくに含まれるグルコマンナンという成分は、食後の血糖値の上昇を抑え、余分なコレステロールを排出してくれます。また、排便を促し、便秘の解消にも役立ちます。腸内の有用菌に働くことで、腸内環境を整える効果が期待できます。

一概に豚肉と相性が良いとされる調味料は、数多くあります。ここでは、手軽さと栄養面から考慮したお勧めの調味料をピックアップ致します。

疲労回復に効果があるとされる豚肉ですが、たくさん食べすぎると疲れの元となるピルビン酸が増えて、体内に乳酸が貯まりやすくなります。クエン酸は、豚肉を多量に食べ過ぎた時に発生するピルビン酸の増加を抑え、乳酸を分解して体外へ排出します。豚肉料理にクエン酸を含む調味料を使うことで、豚肉との相乗効果でエネルギー増加や疲労回復につながるというわけです。
クエン酸を多く含む調味料として酢類があります。梅酢やポン酢、バルサミコ酢、黒酢、リンゴ酢など種類豊富な酢類を、手軽に使って疲労回復に役立てて下さい。また、トマトジュースやトマトソース、レモンの搾り汁なども調理に応用すると良いでしょう。

日本に古来より伝わる発酵食品である味噌は、豚肉との相性が格別です。
味わいはもとより、栄養面においても理想的な組み合わせと言えるでしょう。
大豆を発酵させ作られた味噌は、大豆に元々含まれていない乳酸菌や酵母なども摂取できるようになります。乳酸菌は、豚肉の筋繊維を柔らかくする効果もあり、味噌を使うことで、豚肉がより柔らかくジューシーな味わいに仕上がるでしょう。この他にも味噌には、たんぱく質、炭水化物、ミネラル、イソフラボンや食物繊維なども豊富に含まれ、これらが豚肉の栄養素と組み合わさることにより、多くの相乗効果をもたらします。

豚肉は、様々な調理法で楽しむことができる食材です。スパイスを上手に取り入れることで、食欲をそそる香り豊かな料理に仕上がります。ここでは、それぞれの調理法に適したお勧めのスパイスをご紹介します。
まずは、焼く、炒めるなど、フライパンやオーブンを使う料理には、ジンジャーやセージなどのハーブがお勧めです。またチーズやフルーツなどにも合う爽やかな甘い芳香を持つキャラウェイも良いでしょう。余談ですが、キャラウェイを使った料理は、愛する人が離れていかないように引き留めてくれるという言い伝えがあるそうです♡
次に、煮込み料理には、山椒や八角、五香粉をお勧めします。揚げるときには、ナツメッグやクローブが良いでしょう。
また、赤ワインや日本酒などの酒類に、調理前の豚肉を1時間〜半日ほど浸けると肉汁を保ちつつ繊維もほぐれ柔らかくなります。

より効率よく豚肉の栄養を摂取するには、レモンのはちみつ漬けを炭酸などで割ったはちみつレモンジュースや梅酢ジュース、キウイフルーツジュースなどがお勧めです。生絞りのオレンジジュースやグレープフルーツジュース等いずれもクエン酸をたくさん含んでいる飲み物です。寒い時期には、食後にレモンティーやオレンジティーなどで口の中をさっぱりさせても良いかもしれません。
豚肉は、アルコールの分解にも役立つ栄養素がたくさん入っています。しかし、健康を維持するためには、過度のアルコール摂取は控えた方が良いでしょう。

以上のように、豚肉は、優れた栄養価を持ちながら、合わせる食材や調味料によって、幾重にも味が広がります。各種野菜との相性も良く、食感や味わいのコントラストも楽しめます。ご飯やパンなどの穀物、乳製品や各種スパイス、フルーツなど、様々な食材との組み合わせが可能で、豚肉との組み合わせが、身体に作用する栄養素の相乗効果に期待が持てます。食事の目的や体調を考慮して、適切な食材で調理法や献立を選ぶことで、美味しく、より効果的に健康的な食生活を送ることができます。バランスの取れた食事を心がけながら、豚肉を楽しんで毎日を健康に過ごしましょう。